自己愛性人格障害と妄想

自己愛性人格障害の人は「自分は特別な存在である」と妄想しています。また「他人は特別である自分を羨ましいと思っている」とも妄想しています。妄想する事で不完全な自己を補っています。

自己愛性人格障害の人はありのままの自分を受け入れる事が出来ません。理想の自分像を思い描き、それに自分は近い、もしくはそうであると妄想します。

しかしその妄想には根拠が無い場合が多いです。

「自分は学歴が高い」と妄想していても、実際はそれ程高い学歴を持っている訳では無い場合が多く、自分よりも良い学歴を持っている人が居れば嫉妬してしまいます。

「自分は仕事が出来る優秀な人間だ」と妄想していても、仕事の実績を総体的に見てみると、それ程優れているとは言えない人が多いです。

「他人は自分を羨ましいと思っている」と妄想していても、実際は他人が羨む程に特別な力を持ってはおらず、凡人である人が多いです。

「自分は美しい」と妄想していても、実際は賞賛される程に美しい外見では無い人が多いです。より一層美しくなる為に化粧の技術を身に付けたり、服装や持ち物を良い物にしようとしますが、実年齢に合っていない場合や、奇抜すぎて異様に見える場合もあります。

「素晴らしい人に付き従う自分も素晴らしい」と妄想していて「素晴らしい人」が何かの才能を持っていても、付き従っている人までその才能を持つ事はありません。その「素晴らしい人」が期待を裏切る様な事をする場合もあります。芸能人が事件を起こしたり結婚したりする事で自暴自棄になる熱狂的なファンも居ます。

「全て自分の思い通りになる」と妄想し、実現する為に他人を利用したり貶めたりしますが、異常性に気が付いた周囲の人によって実現する事が出来なくなる場合が多いです。また、ただ我侭な子供の様に周囲の人から扱われている場合もあります。

自分を客観視する事や現実を直視する事が出来ず、妄想を止める事も出来ない状態である為に「障害」であると言えます。

他人から妄想を正論で否定されると、自己愛性人格障害の人は激しく怒り、場合によっては酷くストレスを感じてパニック障害等の精神障害を負ってしまいます。

「素晴らしい人に付き従う自分も素晴らしい」と妄想している場合は、その「素晴らしい人」が期待を裏切る様な事をすると激しく怒り、暴言を吐き、新たな「素晴らしい人」の方へ移動しますが、中には期待を裏切った「素晴らしい人」や関係者に対して危害を加えようとする人も居ます。

妄想を壊される事は自己愛性人格障害の人にとっては自分自身を否定される事であり、それは最も恐れている事です。